紙面で振り返る『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)

東日本大震災と福島第一原発事故は、直後から福島民友新聞も連日大きく紙面を割いて報道した。震災からまもなく9年を迎え、ノンフィクション作家の門田隆将氏の作品『 死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』(角川文庫)が映画化された。
『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)とは、「同発電所の事故が発生した後も残った約50名の作業員に対し欧米など日本国外のメディアが与えた呼称」だ。映画で主に描かれる事故直後の状況を当時の福島民友新聞の紙面から振り返る。

東日本大震災翌日
災害特別緊急紙面

◆東日本巨大地震
◆県内震度6強、浜通りに大津波
◆M8.8死者・不明多数 第1原発 半径3キロ避難指示
11日午後2時46分、宮城県の牡鹿半島東南東約130キロの三陸沖を震源とする強い地震が発生した。仙台管区気象台の発表によると、地震の強さを示すマグニチュード(M)は8・8で、震源の深さは24キロ。本県は浜通りや中通りの広い範囲で震度6強を観測。沿岸部が津波に襲われたほか、各地で住宅の倒壊や土砂崩れ、火災などが発生、県によると午後10時現在、死者32人、行方不明者72人、重軽傷者10人を出す大きな被害に見舞われた。県警によると新地町から相馬、南相馬市にかけた海岸沿いの地区に連絡がつかず、約300人が行方不明との情報もある。福島第1原発2号機の炉心が損傷、放射能漏れの恐れが高く政府は原子力緊急事態を宣言、午後9時20分過ぎに半径3キロで避難指示を出した。双葉、大熊両町民など約1万3千人が避難した。地震発生直後、福島第1、第2の10基の原発は、福島第1の1~3号機の3基、福島第2全4基が自動停止した。

号外
第1号機での炉心溶解の可能性を報じた

◆原発で炉心溶融か
◆東日本大震災
◆放射性物質を検出 第1原発1号機 燃料露出、冷却できず
経済産業省原子力安全・保安院は12日午後、冷却機能を喪失していた東京電力福島第1原発1号機(大熊町)の周辺で、放射性物質のセシウムとヨウ素が検出されたと発表した。保安院は半径10キロの避難指示範囲に変更はないとして、冷静な対応を求めている。セシウムは炉心のウラン燃料が核分裂してできる物質。保安院幹部は記者会見で「炉心の燃料が溶けだしているとみてよい」と「炉心溶融(メルトダウン)」が起きたとの見方を明らかにした。

特別号外
原発2万人避難

◆原発2万人避難
◆東日本大震災
◆第1、第2で事態緊迫 県内死者70人不明126人
浜通りや中通りで震度6強を観測した東日本大震災から一夜明けた12日、県内の死者、行方不明者が拡大。津波や土砂崩れなどの被害の大きさがあらためて浮き彫りとなった。県によると同日午前10時現在、県内の死者は70人、行方不明者126人、重軽傷者219人。東京電力福島第1原発1号機は、原子炉の圧力上昇により放射能漏れの可能性が高まり、半径10キロ圏内に避難指示が出され、第2原発でも炉心を冷やす水の温度が上昇、半径3キロ圏内に避難指示が出された。周辺の双葉町など3町の全町民計約2万人が避難を始めた。県内で避難している住民は自主避難を含め10万5千人に上る。

本紙
国内初の炉心融解

◆国内初の炉心溶融
◆東日本大震災
◆放射性物質を検出 第1・1号機 建屋爆発、4人けが
◆半径20キロ避難指示拡大
東日本大震災で自動停止した大熊町の東京電力福島第1原発1号機の周辺で、ウラン燃料が核分裂してできる放射性物質のセシウムとヨウ素が検出され、経済産業省原子力安全・保安院幹部は12日午後、燃料の一部が溶ける「炉心溶融」が起きたとの見方を明らかにした。日本の原発で炉心溶融は初。 また午後3時36分ごろ、1号機で爆発があり、原子炉建屋が損傷、作業中の同社社員ら4人がけがをして病院に運ばれた。内部の原子炉格納容器は損傷していなかった。保安院関係者によると、中央制御室も壊れていない。これを受け県は第1原発の避難指示を半径20キロに拡大した。想定していなかった巨大地震が原因とはいえ、原発の安全性は大きく揺らぎ、地震国・日本での原発運転の在り方が厳しく問われることになった。

号外
3号機冷却機能喪失

◆3号機冷却機能喪失 第1原発・プルサーマル実施炉
◆MOX燃料上部露出 炉内排気、真水を注入
東京電力は13日、福島第1原発3号機で、原子炉の冷却機能が失われとして、原子力災害対策特別措置法の第15条に基づく「緊急事態」の通報を国などに行った。東電は原子炉の排気を実施し圧力を下げ、真水の注入を開始するなど、炉心熔解や爆発回避に努めている。

号外
3号機水素爆発

◆3号機水素爆発 第1原発・建屋吹き飛ぶ
◆格納容器損傷なしか 保安院 半径20キロで屋内退避
経済産業省原子力安全・保安院によると、14日午前11時すぎ、東京電力福島第1原発3号機で水素爆発が発生した。東電によると、原子炉圧力容器や原子炉格納容器が健全だと確認した。枝野幸男官房長官は「放射性物質が大量に飛び散っている可能性は低い」と述べた。 保安院は同原発から半径20キロ以内の約600人に屋内退避を呼び掛けた。周辺では南から北に約1メートルの風が吹いているという。東電によると、6人の負傷者がいる。

本紙
高濃度放射能が拡散

◆高濃度放射能が拡散
◆2号機爆発4号機火災 20~30キロ圏、屋内退避
◆第1原発
◆政府と東電統合対策本部
15日午前6時10分ごろ、東京電力福島第1原発2号機で、原子炉格納容器の圧力抑制プール付近で爆発音が上がり、プールが損傷した。5分後には同原発4号機でも爆発音がし、その後火災が発生。外部へ広範囲に高濃度の放射性物質が漏れたとみられる。菅直人首相は記者会見し「放射能濃度がかなり高くなっている」として、同原発から半径20キロ以内の住民の避難に加え、新たに20~30キロの住民に屋内退避を指示。1999年の東海村臨界事故をはるかに上回る影響を周辺に与え、世界的にも重大な原子力災害となった。

本紙
3号機付近から白煙

◆第1原発 3号機付近から白煙 高水準の放射線量計測
東京電力の福島第1原発3号機付近から16日午前8時半すぎ、白煙が噴出した。4号機では午前5時45分ごろ、作業員が原子炉建屋の3階北西付近から火災が発生しているのを見つけ通報した。 東電や経済産業省原子力安全・保安院は3号機の白煙について、使用済み核燃料プールからの水の蒸発量が増えて白煙が上がったと分析。政府の原子力災害対策本部は「格納容器に重大な損傷が生じた可能性は低い」としている。
◆警察、地上から放水へ
◆4号機は再び出火
政府や東電は燃料プールへの注水作業を検討している。陸上自衛隊のヘリコプターによる水の投下を検討したが、上空の放射線量が高く、接近が困難なため16日中の実施は取りやめた。警察当局は放射性物質の拡散を防ぐため、上空から水を投下できない4号機に地上から高圧放水車で放水する作業を早ければ17日から始める。保安院によると、16日午前10時40分ごろ、福島第1原発の正門付近で、1時間当たり10ミリシーベルト(1ミリシーベルトは千マイクロシーベルト)と高水準の放射線量を計測した。一般人の年間被ばく線量限度は千マイクロシーベルト。4号機で早朝発生した火災は約30分後には見えなくなった。けが人の情報はない。15日午前にも同じ場所で火災があった。

本紙
事故発生からの経過など

◆次々襲う危機想定外
◆原発で何が起きたのか 燃料露出、炉心溶融、水素爆発…
◆大津波で大ダメージ
◆緊迫の10日間総力戦
◆一時「空だき状態」空陸から放水作業
東京電力福島第1原発の事故は20日、発生から10日目を迎えた。燃料の露出や、炉心溶融、水素爆発―。日本の原発が初めて経験する危機が次々と襲う。技術の粋を集めたはずの最前線で、何が起こったのか。最悪の事態回避へ向けて続いている総力戦の経過をたどった。

本紙連載
『Fukushima 50』
(フクシマフィフティ)
の闘いを振り返る

◆水素爆発決死の闘い
◆フクシマ50
◆混乱極める現場 がれきの中、延々作業
◆忘れない〈1〉
東日本大震災と東京電力福島第1原発事故が相次いで県民を襲った「3・11」から、早くも1年を迎える。進まぬ復興、重くのしかかる放射線や賠償問題。一方では、隠れた課題や新たな問題が膨らむ兆しをみせる。忘れない、忘れてはならない「あの日」からの苦しみを見つめ、3・11以降の進むべき道を探る。 「震災の後、タービンビル(建屋)からグラウンドへ、さらに免震棟へと避難したんだ。家族と連絡を取りたいと家に帰る作業員も多かった。俺は車に携帯電話を忘れていたから、逃げなかった。家族と連絡できなくなるのを恐れた。そしたら『フクシマ50(フィフティー)』と呼ばれた一人になっていたらしい」。東電の協力企業のベテラン作業員、高山悟さん(仮名)は海外で英雄視された呼称をいぶかしそうに口にした。しかし、この日から数日間、事故原発との命懸けの闘いの現場にいた記憶は、鮮やかによみがえる。

ダンカン演じる福島民友新聞記者は?

「映画の後半、福島民友新聞記者が登場する場面がある。
記者会見で大勢の取材陣の中、ダンカン演じる橋口記者が質問する。印象的な場面だ。 原作にはない場面で、記者の名前が橋口。関連作に登場する記者が木口と橋本というのは、はたして偶然だろうか?」

原発事故直後を描く『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)2020年3月6日公開

福島第一原発事故直後の現場で懸命に対応した作業員を描く、門田隆将氏のノンフィクション作品『 死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』 (角川文庫) を実写化した劇場映画が、2020年の3月に公開となる。(県内では、郡山テアトル、イオンシネマ福島、フォーラム福島、まちポレいわき、ポレポレシネマズいわき小名浜)

本作品は、福島県内の自治体でも福島県、大熊町、双葉町、富岡町、川内村が撮影協力しており、製作委員会には福島民友新聞社が参加している。 事故直後に、内部に残り対応し続けた地元出身の作業員たち。後に、彼ら50人の作業員を各国のジャーナリズムは、「Fukushima50」と名付けた。外部と遮断されたイチエフ内で、人の手でやるしかない命がけの作業を、ノンフィクション作家の門田隆将が、90人以上の当事者に取材しまとめた渾身作の映画化だ。当事者は実名で綴られている。 監督は、若松節朗(『沈まぬ太陽』『空母いぶき』『柘榴坂の仇討』『ホワイトアウト』)で、配役は、佐藤浩市、渡辺謙、安田成美、吉岡秀隆など大物揃いの大作だ。大型のセットとCGで編集した迫力ある映像でスケールの大きな作品となっている。

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スタッフ・キャストなど

2020年3月6日(金)全国ロードショー
出演:佐藤浩市渡辺謙吉岡秀隆緒形直人火野正平平田満萩原聖人堀部圭亮小倉久寛和田正人石井正則三浦誠己堀井新太金井勇太増田修一朗須田邦裕皆川猿時前川泰之Daniel Kahl小野了金山一彦天野義久金田明夫小市慢太郎伊藤正之阿南健治中村ゆり田口トモロヲ篠井英介ダンカン泉谷しげる津嘉山正種段田安則吉岡里帆斎藤工富田靖子佐野史郎安田成美

監督:若松節朗
脚本:前川洋一
音楽:岩代太郎
演奏:五嶋龍/長谷川陽子/東京フィルハーモニー交響楽団
原作:「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」門田隆将(角川文庫刊)
製作:KADOKAWA
配給:松竹、KADOKAWA ©2020『Fukushima 50』製作委員会

公式HP:fukushima50.jp
twitter:twitter.com/Fukushima50JP
Facebook:facebook.com/fukushima50jp/

書籍紹介

原作「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」
(角川文庫)

あの時、何が起き、何を思い、どう闘ったのか。原発事故の真相が明らかに!
角川文庫刊 著:門田隆将
2011年3月、日本は「死の淵」に立った。福島県浜通りを襲った大津波は、福島第一原発の原子炉を暴走させた。全電源喪失、注水不能、放射線量増加…このままでは故郷・福島が壊滅し、日本が「三分割」されるという中で、使命感と郷土愛に貫かれて壮絶な闘いを展開した男たちがいた。あの時、何が起き、何を思い、人々はどう闘ったのか。ヴェールに包まれた未曾有の大事故を当事者たちの実名で綴る。

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「記者たちは海に向かった 津波と放射能と福島民友新聞」
(角川文庫)

「震災を、福島を報じなくては――」
角川文庫刊 著:門田隆将
2011年3月11日、一人の新聞記者が死んだ。福島民友新聞記者、熊田由貴生、享年24。福島県南相馬市で津波の最前線で取材をしていた熊田記者は、自分の命と引きかえに地元の人間の命を救った。その死は、仲間に衝撃を与えた。それは、ほかの記者たちも同じように津波を撮るべく海に向かい、そして、生命の危機に陥っていたからである。

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